調停前の仮の措置
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調停前の仮の措置は、調停前の仮の処分ともいい、調停委員会は職権で調停のために必要であると認める処分を命ずることができます。
夫には財産があって隠そうと(処分しようと)していること、または、今すぐにでもお金を得られないとあなたの生活が困窮していることが、「調停のために必要である」と認められれば、財産の処分の禁止や婚姻費用・養育費の仮払いなどを命ずる職権が発動されます。
お金に限らず、例えば子供に暴力をふるう夫から、子供の安全を確保したい場合に、子供を引き渡すように命じることもできますし、必要と認められれば適用範囲は柔軟です。
職権の発動は、調停委員会が必要と認める意思であり、あなたの意思を必要としませんが、措置を講じてほしいと申し立てる(上申する)ことで、調停委員会が処分を命ずるように促すことができるので、困っているなら忘れずに行いましょう。
「調停前の」仮の措置となっていますが、調停の申立てと同時や、調停中ならいつでもかまいません。
むしろ調停の申立てもしていない、本当の意味の調停前ではできない措置です。
なぜなら、調停委員会が職権を発動するには、相互の事情を考慮し判断する必要がありますが、調停前では判断材料が十分ではないからです。
また、調停前の仮の措置ができるのは、調停事件の係属(調停手続きが開始されていること)を必要とするので、早く措置を講じて欲しければ、調停を申し立てるときに行うのがベストです。
ただし、調停委員会の命ずる内容には、特に規定がないかわりに執行力もありません。執行力がないとは、調停委員会が命じても従わないことができるということです。
正当な理由がなく従わない場合には、10万以下の過料(罰金と似たような意味の金銭)を課せられますが、申立人が逼迫した状態でも従わないことができるような調停前の仮の措置は、利用者が少ないといわれています。