夫が支払わないとき-養育費等の特則とは?
男性の方はこちらもどうぞ→離婚知恵袋[男性版]
正しくは、「扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例」といい、平成16年4月1日からの制度になります。
養育費や婚姻費用の分担金といった、扶養にかかわる性質の定期的に支払いが訪れるもの(定期金債権)については、特に必要性が高いため、財産を差し押さえることについて、以上の2つの特例が認められています。
財産を差し押さえるということは、当然、強制執行をすることになるので、必然的に調停や審判、判決などによって定められた支払い分である必要があります。
(1)将来分を差し押さえることができる
通常の債権で差し押さえることができるのは、債務不履行があった未払い分だけになります。
しかし、扶養的な性質の定期金債権については、将来分の支払い分についても、債務者(相手方)の財産を差し押さえることができるようになっています。
ただし、差し押さえることができるのは、給料などの定期的な収入で、かつ、支払い日より後に訪れるものに限ります。
(2)通常の債権より多く差し押さえることができる
通常の債権では、給料などの定期的な収入を差し押さえできるのは4分の1までとなっています。(差し押さえ禁止額も定められています)
しかし、扶養的な性質の定期金債権については、差し押さえ可能な範囲が2分の1までに広がっています。
これには、差し押さえが他の債権と競合したときに、扶養的な性質の定期金債権のほうが差し押さえ可能範囲が広いことによって、実質的には優先される意味合いがあります。
また、差し押さえ可能な範囲が決まっているのは、差し押さえられる側の生活費までを差し押さえることができないためですが、扶養的な性質の定期金債権については、元々が家庭裁判所によって、収入等を考慮して決められている金額なので、通常の債権による差し押さえ範囲を超えても不当ではないと考えられています。