婚姻費用の相場
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婚姻費用には、医療費や養育費、交際費など一切の生活上必要な費用が含まれるため、夫婦お互いの収入や、生活環境などさまざまな考慮すべき事項があるために、固定の金額というものは存在していません。
また、夫婦の協議で決める金額については、合意があるならいくらであって構いません。
しかし、婚姻費用の分担金でトラブルになり、調停などの家庭裁判所を通じて金額が決められる場合には、裁判官によって発表されている養育費と婚姻費用の算定表が存在します。
その金額を基本的な基準として実務上決定されていくことから、この算定表に基づく金額が実際においての相場といえます。
算定の仕方を簡単に説明すると、最初に夫とあなたの基礎収入を求めます。
基礎収入は、年収の概ね4割程度になりますが、これは収入から税金などの諸経費を考慮したもので、収入が多いほど割合は小さくなっています。
夫の基礎収入とあなたの基礎収入を足して、夫婦の基礎収入とします。
ここで、家族全員に必要な生活費と、それぞれが必要な生活費を指数で表します。
成人の夫とあなたは100とし、子供は15歳未満なら55、15歳以上なら90とします。
例えば、夫婦と15歳未満の子供1人の場合は、100+100+55=255です。
婚姻費用を請求するときは、別居をしているので、子供はどちらかと一緒に暮らし、一方は100、もう一方は155で表されます。
したがって、必要な生活費は、次のように分けられます。
子供と暮らさない側=夫婦の基礎収入×(100÷255)
子供と暮らす側=夫婦の基礎収入×(155÷255)
例として、夫の収入が500万円(基礎収入200万円)、あなたの収入が100万円(基礎収入40万円)とし、あなたが15歳未満の子供1人を連れて別居したとしましょう。
夫婦の基礎収入は240万円になり、それぞれの世帯の生活費は次の通りです。
夫世帯の生活費=240万円×(100÷255)≒94万円
あなた世帯の生活費=240万円×(155÷255)≒146万円
あなた世帯に夫が支払う婚姻費用=146万円-あなたの基礎収入40万円=106万円
106万円は年額なので、月額では約8万8千円と求められます。
夫婦の収入で上下するとはいえ、一般的な家庭では10万円前後が相場です。
もちろん、相場の金額より上下することについて、双方の合意が得られれば問題ありませんが、例えば、どうしても必要不可欠な生活上の費用といった特別な事情があれば、相場から大きく離れていたとしても考慮されるべき内容になります。
「夫婦は同一水準の生活をするためにお互いを扶助する」という決まりがあるので、相場の金額を採用することで、一方に著しく不公平な状況が発生していない限りは、相場の金額を元に算出すると考えておけばよいでしょう。