夫が支払わないとき-直接強制には正本が必要

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夫が支払わないとき-直接強制には正本が必要

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給料や財産を差し押さえることができる直接強制は、調停や審判後に支払わない夫への最終手段として使われます。

普通は、あなたが直接夫に請求し、それでも支払ってくれなければ、履行勧告や履行命令を家庭裁判所に出してもらうのですが、どうしても支払ってくれないのなら、強制的に取り立てるしかありませんよね。

養育費や婚姻費用分担金では、調停調書があれば直接強制が可能になるので、給料の差押えのために債権差押命令を地方裁判所に申し立てます。

しかし、その前にしなくてはならないことがあり、それは調停調書正本の入手と夫への送達です。

調停で合意に至らなかった、または審判を申し立てて調停にならなかった場合は、審判で決着を付けますが、その場合は調停調書ではなく審判書が得られます。

審判書でも調停調書と同じことが言えますが、以降は調停調書として説明しますので、養育費や婚姻費用分担金の支払いが審判で決まっていたら審判書と読み替えてください。

また、審判書の場合には審判書正本以外にも確定証明書が必要になります。

確定証明書が必要になる理由は、養育費や婚姻費用分担金の審判は、異議申立て(即時抗告)が可能なため、審判から2週間の抗告期間を過ぎなければ効力が生じないからです。

2週間が過ぎて審判が確定すると、家庭裁判所で確定証明書を交付してもらえるので、審判書で直接強制する場合は、確定証明書も忘れないようにしましょう。

調停が成立して調停調書が作られるとき、通常は謄本が送られてきますが、債権差押命令を申し立てるには、調停調書の正本を必要とし、また夫にも正本(または謄本)が送られたことを証明する送達証明書を手に入れなくてはなりません。

調停調書は、謄本であれば「これは謄本である」と記されていますし、正本であれば「これは正本である」と記されているので、調停調書が手元にあるなら確認してみます。

正本も謄本も原本の写しですから、実際は似たようなものですが、強制執行をするためには正本が必要と決まっています。

送達証明書についても、単に夫が調停調書謄本を持っているだけでは、送達証明にはなりません。

・あなたが調停調書正本を持っている
・夫に調停調書正本(または謄本)が送られて、あなたが送達証明書を持っている

上記をどちらも満たしていない場合、家庭裁判所で調停調書の正本送達を申請します。自分でも正本を使うので、あなたと夫の両方に正本を送ってもらいます。

同時に夫への送達証明書も申請し、送達証明書が送られてくるまで待ちます。