生活保護の受給対象-離婚後の生活
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生活保護は、あくまでも生活に困窮している人が対象なので、世帯全員での収入が一定の水準額に満たないという単純な理由だけで支給されるものではありません。
不正受給の防止の意味もあって、さまざまな条件に基づいて審査が行われます。
(1)資産を持っていない
収入が不足しているからといって、預貯金や不動産を持っている状態では生活保護は受けられません。
生活に利用できる資産は全て売却などして生活費に充てる努力をし、それでもなお生活費がまかなえない場合には支給対象になります。
車についてですが、体が不自由などの特別な事情がない限り、認められることはありませんので、車を持っている場合には売却してでも生活費に換える必要があります。
(2)働けないもしくは働いても収入が少ない
多くの方が勘違いしていますが、生活保護は働いていても収入が水準額に達しなければ受給できます。
ですから、お子さんの養育のためにパートで短い時間しか働けないという場合にも受給は可能です。
要するに、働く努力や意思があっても生活できない人は対象になり、働く努力や意思がない人は対象にならないということです。
小さなお子さんを育てるために働けないというのは、十分に申請の理由になります。
(3)他の公的な扶助も利用する
生活保護は、あらゆる手段を持ってしても、生活できない人を対象にしているので、年金や児童扶養手当、離職していれば失業手当などの給付は全て受けた上で、不足分が支給対象になります。
また、養育費や扶養的財産分与を月払いで受け取っていれば収入にあたりますので、その分が支給金額から減額されます。
もっとも、扶養的財産分与は、相手方が離婚後に生活ができるまでという趣旨なので、生活保護を受給し始めたら止められるかもしれません。
(4)親族等に扶養できる人がいない
親族にはお互いに扶養する義務があるとされているので、生活保護の申請にあたって、3親等以内の親族に扶養できないかどうかという通達が届きます。
この扶養義務は、夫婦や未成年の子に対する扶養義務と違い、自分の生活が成り立つ範囲で扶養すれば良いというゆるい義務になります。
そのため、たとえ扶養義務にある立場でも、「ウチは自分の生活で精一杯」という回答をすれば、それ以上は追及されないといわれています。
しかし、近い身内に対して、あなたが生活保護の申請をしていることが知れてしまうので、生活保護以下の水準での収入で生活している人であっても、申請をためらう人が多いようです。
たとえ、あなたが資産家の娘であり実家が裕福であっても、実家が断ればそれで済みますが、道義的な問題と考えられる場合が多く、高収入が世間にわかりやすい芸能人や著名人は、親族が生活保護を受けていることが発覚するとしばしばマスコミに取り上げられます。
また、生活保護に対して否定的な意見の人は多く、通達があるだけであなたに何か言ってくるかもしれませんね。そういった場合に備えて、事前に3親等以内の親族には、知らせておくのが良いでしょう。
この点は、生活保護を受けるための心構えにおいて、もっともネックとなります。