遠くて近い家庭裁判所-家事調停とは?
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家庭裁判所とはいえ、「裁判所」であることに変わりはないので、「裁判所」になんとなく抵抗がある方も非常に多いかと思います。
恐らく多くの方は、裁判所というと訴訟をイメージしてしまい、テレビドラマで見るような検事と弁護士がいて、お互いに弁論を繰り返し、裁判官が判決を下すことを考えているのかもしれませんね。
家庭裁判所で取り扱う家事事件は、家庭内の紛争なので、他人の当事者同士が権利を争うような民事事件とは違い、イメージよりも敷居が低いものです。
もっとも、争うことがなければ訪れることのない場所ですので、堅苦しくて怖いイメージを持つのも無理はありませんが…
調停という手続きは、裁判とは全く異なり「第三者を挟んだ話し合いの場」です。
ほとんどの人がイメージする、テレビドラマの場面ではなく、調停室という非公開の場で、当事者の一方と調停委員の話し合いを繰り返します。
どのような調停であっても、当事者が調停に来ない場合は仕方がありませんが、必ず双方の事情を良く聞いたうえで、調停委員が双方にとって最良と思われる案を模索して解決に向けて手助けしてくれます。
勝訴・敗訴で白黒を付ける裁判とは異なり、日本人の気質からなのか、話し合いで落とし所を見つけ、穏やかに解決しようとするために調停はあります。
裁判所で行うので、決して庶民的とはいえない調停ですが、調停委員は民間から選出されていますし、話が通じないということはないはずです。
また、実際の調停委員に話を聞いてみると、家事調停の争いは、調停に持ち込むほどの内容ではないことも多いそうです。
当事者同士では言い争いにしかならないために、第三者に話を聞いてもらうことで、相手を納得させたり、一種のプレッシャーをかけて、都合良く解決したりするため逆に調停を利用されている感じもするとのことですので、あまり身構えないで調停を利用してみることも考えてみましょう。
特に、家庭内では妻に高圧的でも、対外的な場面ではガラッと変わる顔を持つ夫は、調停委員との話し合いになると常識的に話をするケースが多いようです。
夫が家の中では全く違う人格になるタイプなら、調停を試してみても良いでしょう。
どのような争いであっても、決着をつけなければ先に進めないのですから、弁護士に依頼して裁判を起こすよりはるかに費用も安くて済みますし、何よりも公的な立場から話を聞いてもらえるのは大きいはずです。
なお、離婚調停においては、いきなり裁判を起こすことができないので、裁判目的でも調停を申し立てなければなりません。
調停で解決すれば、裁判での判決と同じ効力を持つ調停調書が作られるので、わざわざ面倒な裁判を起こす必要もないので期待しましょう。