非親権者から非親権者への引渡し請求
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非親権者が非親権者に子の引渡しを請求する例は少ないですが、親権者かつ監護者であった側が、死亡して親権者がいなくなると起こり得ます。
存命の親は、当然の権利として子の引渡しを請求できそうですが、実際はそうではありません。
離婚後の単独親権者が死亡した場合、生存している親に親権が移るのではなく、未成年後見人が選任されます。
もし、死亡した親権者に祖父母など監護できる人がいれば、通常は祖父母がそのまま未成年後見人として子供を監護するでしょう。
このとき、非親権者が親として子の引渡しを請求するには、祖父母などの第三者が相手方なので、家庭裁判所の手続きを利用できず、民事訴訟によるとする見解があります。
それでも、非親権者は子の監護者の指定や親権者の変更を希望しているのであり、これらは未成年後見人を相手方として申し立てるのは可能と解されているため、子の監護者の指定を申し立てるか、親権者の変更を申し立てて、それが認められれば子の引渡し請求も可能だと考えられます。
なお、亡くなった親権者と、非親権者である親との関係では、亡くなった親権者に監護させる協議または家庭裁判所が関与した法的効力を持つ約束があるはずなので、変更は容易ではありません。
しかし、祖父母などの第三者が相手であるときは、非親権者とはいえ、親子が共に生活するのが理想であることからも、認められる可能性は高くなります。
ただし、祖父母の例では、親権者が亡くなる前から子供と慣れ親しんで生活している場合もあり、非親権者である親に監護させたほうが適切であると判断されるかどうかは、子供の意思など様々な側面から考慮されるでしょう。